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伊太利や亜米利加の美人
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外にまだ大勢居る座附の女が、全部薄い着物を着た半裸体の姿で、数十頭の裸馬と入れ交って、あの楽屋口から練り出して来て、愉快な音楽に合わせながらダンスを遣るんだそうです」
「ハハハ……。それは嘸かし面白いでしょう。毛唐はそんな事を好くものですからナ」
青年ははっとしたらしく前後左右を見まわした。しかし近くに西洋人らしい者が居ないのを見て安心したらしかった。
一方場内には二十名ばかりの音楽隊が輪を作ってコロンビア・マーチを奏していた。義勇兵式の空色のユニフォームに金銀のモールをあしらった綺羅びやかなバンドで、歯切れのいい鮮かなピッチが満場をしんとさせていた。
私はその音楽を聞き、又前の二人の話に耳を傾けつつ、時計を出して時間を計っていた。そうして演奏が済むと同時に立ち上って、見物席の背後に出ようとした。その時にふと気が付いたが、私のすぐ真背後の席にいつ来たものか十八九のハイカラな女優髷の女が、青い色眼鏡をかけて、片っ方の眼に薄桃色のガーゼを当てて坐っている。
もっともそれだけの事ならば別に私の注意を惹きはしない。眼の悪い女は、よくこうしているものだが、私が驚いたのはこの女が、眼元はよくわからないが実に絶世の美人で、最前のカルロ・ナイン嬢に優るとも劣らぬ容色を持っている事である。
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04/16 15:32
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